贈与税は子供に渡す金銭でもかかるってホント?0円で贈与するための方法まとめ

「子供のために貯金口座を作って貯金しよう」という方は多くいらっしゃいますが、子供用の貯金口座に入れたお金を将来子供に口座ごと渡す時に、実は贈与税がかかる可能性があります。
贈与税とは、その年(1月1日~12月31日まで)にいくら贈与したかにより、税金が課税されるものです。 元々贈与税には基礎控除110万円がありますので、110万円までの贈与であれば差し引きゼロで「非課税」になります。
贈与税の納税期間は、前年度分の贈与金額に対して、翌年2月1日~3月15日までに、管轄の税務署に申告します。
贈与税の課税対象者は「受贈者」。つまり、子どもにかかります。
贈与税の課税金額の計算は、贈与金額と誰から贈与を受けるかによって控除額が変わります。
本記事では、贈与税の課税額と控除額。子供に一括贈与した場合の非課税措置、贈与税にならないケース、についてまとめています。
いざ子供に渡す時に贈与税が課税されてしまい、子供が受け取るお金が減ってしまったとならないように 、是非下記の関連記事も参考にしながらご覧下さい。
【参考記事】子供用の貯金口座を作る前に!知っておかなければ損する事まとめ
https://30daikarano-kazoku-tyokin.com/?p=634
子供への贈与税額と控除額

贈与税とは、その年(1月1日~12月31日まで)にいくら贈与したかにより、税金が課税されるものです。基本としては、暦年課税という方式でその年に受けた贈与金額によって課税金額と控除金額が変わってきます。
控除金額については、元々基礎控除110万円がありますので、110万円までの贈与であれば「非課税」になりますが、金額が大きくなると基礎控除とは別に控除金額も段階的に上がります。(下図を参照)
贈与税の納税期間は、前年度分の贈与金額に対して、翌年2月1日~3月15日までに、管轄の税務署に申告します。
贈与税の課税対象者は「受贈者」。つまり今回の場合は、子どもにかかります。
子供にかかる贈与税の課税金額の計算は、親や祖父母などの直系尊属から贈与される場合、子供の年齢が20歳以上か未満によっても変わってきます。
具体的な計算は、下記の表を参照してください。
なお下記表の課税金額は、基礎控除110万円を差し引いた後の金額になります。
暦年課税

直系尊属(両親や祖父母)からの贈与の場合(子が20歳未満の場合)
子が20歳未満の場合、直系尊属から贈与を受ける場合であっても、一般贈与財産用の控除額が適応されます。
課税金額 | 課税率 | 控除額 |
~200万円以下 | 10% | なし |
200万円超~400万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円超~600万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円超~1,000万円以下 | 30% | 65万円 |
1,000万円超~1,500万円以下 | 40% | 125万円 |
1,500万円超~3,000万円以下 | 45% | 175万円 |
3,000万円超~4,500万円以下 | 50% | 250万円 |
4,500万円超 | 55% | 400万円 |
直系尊属(両親や祖父母)からの贈与の場合(子が20歳以上の場合)
子が20歳以上で、直系尊属から贈与を受ける場合、特例贈与財産用の控除額が適応されます。
課税金額 | 課税率 | 控除額 |
~200万円以下 | 10% | なし |
200万円超~400万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円超~600万円以下 | 20% | 30万円 |
600万円超~1,000万円以下 | 30% | 90万円 |
1,000万円超~1,500万円以下 | 40% | 190万円 |
1,500万円超~3,000万円以下 | 45% | 265万円 |
3,000万円超~4,500万円以下 | 50% | 415万円 |
4,500万円超 | 55% | 640万円 |
※上記の表は、令和元年の贈与税に定められたものになります。
参照元:国税庁ホームページ「財産をもらったとき」
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/koho/kurashi/html/05_3.htm
通常の子どもへの贈与であれば、上記の速算表に基づいて計算されます。
それが「教育資金の一括贈与」「結婚子育て資金の一括贈与」「住宅取得等資金の贈与」です。
しかしこれらの速算表に当てはまるのは、用途を定めていない金銭贈与に過ぎません。そもそも生活費や教育費として、親が子に支払う金額に贈与税はかかりません。
また贈与税は、受贈者が自由に使える金額や物品に対して、課税される傾向にあります。
子供への一括贈与における3つの非課税措置
直系尊属(親や祖父母)から子供に対しての贈与であれば、上記の暦年課税の表に当てはめず、一定の非課税措置を受けられる制度があります。それが「教育資金の一括贈与」「結婚子育て資金の一括贈与」「住宅取得等資金の贈与」です。
これらは教育資金や結婚・子育て、住宅資金に対する資金の贈与を、直系尊属から一括で受ける場合、一定の金額が非課税になる制度です。
直系尊属から教育資金の一括贈与における非課税措置

直系尊属(両親や祖父母)から教育資金として贈与を受けた場合、1,500万円までが非課税になります。この用途は、高校・大学(国内外問わず)などの入学金・学費や、通学定期代や留学の場合は渡航費も含まれます。
学校以外の塾や習い事などに支払う場合は、1,500万円の内、500万円まで非課税になります。
この非課税措置を適応するためには、子や孫が教育資金用の口座を開設します。ただ普通に口座開設するのではなく、金融機関に信託し、税務署に届け出を行います。
そのため口座開設時に教育資金用の口座を開設したい旨を、金融機関に申し伝えます。この口座から教育資金を引き出す場合は、教育費として利用した分の領収書を、指定の期日までに金融機関に提出する必要があります。
この制度の対象は30歳までの子や孫です。
なお受贈者が前年の合計所得が1,000万円を超える場合、この制度は適応できません。また、本制度は、令和3年3月31日までに上記目的・条件で受贈した者が対象の非課税措置となります。
【メリット】
- 一括で多額の教育資金を譲渡される場合は、非課税額が大きいため節税効果が期待できる。
- 贈与を受けた年度中に使い切る必要はない。
【デメリット】
- 教育資金以外での利用ができない。
- 30歳になった時点で、使いきれなかった分に関しては贈与税が課税される。
教育資金については、親や祖父母が都度支払う場合は、そもそも本制度を使わずとも贈与の対象にはならず「非課税」です。(あなたにお金を贈与している訳ではなく、代わりに支払っているだけのため。)
この制度を利用するかどうかのポイントは、教育費が必要になったその時に支払えなくなる可能性がある場合、つまり贈与者の余命が残り少ない。などが最も考えられる理由になります。
また「教育資金以外での利用ができない。」というのが大きなデメリットで、いざ 教育資金以外の事情でまとまった資金が必要になった時に、安易に引き出す事はできなくなります。
教育資金としては、がっちりホールドできますが、融通が利かないので、その点考慮した上で慎重に検討しましょう。
この制度の詳細を確認したい場合は、下記国税庁のホームページを参照して下さい。
参照元:国税庁ホームページ「No.4510 直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4510.htm
直系尊属から結婚子育て資金の一括贈与における非課税措置

教育資金同様、直系尊属から子育て・結婚資金として一括贈与を受けた場合、1,000万円までが非課税になります。(結婚資金として利用する場合、1,000万円の内、300万円までが非課税です。)
この非課税措置を適応するためには、教育資金と同じで、金融機関に「結婚子育て資金口座」の開設を届け出ます。金融機関を経由して、税務署に届け出が行われます。
この口座から結婚・教育資金を引き出す場合は、その分の費用として利用した領収書を、指定の期日までに金融機関に提出する必要があります。
対象者は、20歳~50歳までの子や孫で、前年の合計所得が1,000万円以上の場合、本制度は受けられません。また、本制度は、令和3年3月31日までに上記目的・条件で受贈した者が対象の非課税措置となります。
【メリット】
- 一括で多額の結婚子育て資金を譲渡される場合は、非課税額が大きいため節税効果が期待できる。
- 贈与を受けた年度中に使い切る必要はない。
【デメリット】
- 結婚子育て以外での利用ができない。
- 50歳になった時点で、使いきれなかった分に関しては贈与税が課税される。
教育資金同様、結婚子育て以外での利用ができないというデメリットがありますが、教育資金よりも結婚、特に子育てでの利用範囲は広いため、そこまで制約を感じる事は少ないかと思われます。
この制度の詳細を確認したい場合は、下記国税庁のホームページを参照して下さい。
参照元:国税庁ホームページ「No.4511 直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4511.htm
下記は、教育資金と結婚子育て資金の一括贈与の相違点について書かれています。
参照元:国税庁ホームページ「No.4512 直系尊属から教育資金及び結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税制度の主な相違点」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4512.htm
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

両親や祖父母などの直系尊属から、住宅やマンション購入のための資金を受け取った場合にかかる贈与税に対して、一定額が非課税とする事ができる制度です。
贈与を受けた翌年3月15日までに住宅やマンションを購入している事が条件になりますが、受け取った資金を住宅ローンの返済に充てる場合は、本制度を受けられないため、受け取った資金での一括購入または頭金としての支払い等に適応範囲が限られます。
【対象者と対象物件】
受贈者の条件としては、20歳以上で贈与を受けた年の合計所得が2,000万円以下の方です。
住宅の要件としては、床面積が50㎡~240㎡以内で、内2分の1以上が居住用である必要があります。
また中古住宅の購入でも本制度を利用できますが、築年数が木造であれば20年以内、マンションなどの耐火建築物の場合は25年以内の建物に限られます。
非課税となる贈与額については、下記の表のとおり、住宅購入における契約の締結日や省エネ住宅であるかによって異なります。
【住宅用の家屋の新築等に係る対価等の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合】
住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日 | 省エネ等住宅 | 左記以外の住宅 |
平成31年4月1日~令和2年3月31日 | 3,000万円 | 2,500万円 |
令和2年4月1日~令和3年3月31日 | 1,500万円 | 1,000万円 |
令和3年4月1日~令和3年12月31日 | 1,200万円 | 700万円 |
【上記以外の場合】
住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日 | 省エネ等住宅 | 左記以外の住宅 |
~平成27年12月31日 | 1,500万円 | 1,000万円 |
平成28年1月1日~令和2年3月31日 | 1,200万円 | 700万円 |
令和2年4月1日~令和3年3月31日 | 1,000万円 | 500万円 |
令和3年4月1日~令和3年12月31日 | 800万円 | 300万円 |
本制度の場合、通常の贈与にかかる非課税額110万と合算する事ができます。(住宅購入の契約をする年に、住宅購入以外の贈与を受けている場合はそちらの金額にも注意して下さい。)
さらにそれぞれの両親・祖父母から贈与を受けられた場合、非課税額が単純に2倍になります。
この制度の詳細を確認したい場合は、下記国税庁のホームページを参照して下さい。
参照元:国税庁ホームページ「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4508.htm
子供への贈与にならないケース

下記はそもそも子供への贈与になりません。
教育費(学費)・生活費
そもそも贈与税がかかるのは、金銭や物品を受贈者に「用途の別なく贈る」際に課されます。逆に用途が確定しているおり、それが必ず生活上必要なものに関しては、基本的に贈与税が課されません。
教育費(学費)や生活費は、これに該当しているため贈与の対象にはなりませんが、子供が学費や生活費以外の用途で、株や金融商品を購入などを購入した場合は贈与の対象となる場合があります。
お小遣い
お小遣いは、子供の生活費として考えられますので、贈与の対象にはなりません。但しお小遣いの枠を超えた、あまりにも高額な金銭の受け渡しについては、贈与の対象になります。
お年玉
お年玉は、日本の慣習として古くから存在するもので、こちらも贈与の対象とは認められにくいです。但しお小遣い同様、あまりにも高額な金銭の受け渡しについては、贈与の対象になります。
学資保険の受取
学資保険とは、親や祖父母が子供のかける保険ですが、進学の際に祝い金がでたり、満期になると満期保険金がおります。
この保険金は子供にかけているので、子供に渡すお金ではないかと思われる方がたまにおられます。
もちろん受取人を子供にする事も可能ですが、 もし受取人を子供や他の第三者に定めた場合、契約者からの贈与とみなされ、贈与税が課せられます。
保険の掛け金を出しているのはあくまで契約者ですので、契約者である親や祖父母が受け取るようにした方がいいでしょう。
契約者ご本人が受取人であれば贈与税はかかりませんが、一時所得となりますので所得税の課税対象になります。
参照元:国税庁ホームページ「No.4405 贈与税がかからない場合」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4405.htm
まとめ
子供にかかる贈与税とその非課税措置についてまとめましたが、いかがだったでしょうか?
意外と子供にかかる税金が多くて驚きますが、その分第三者のへの贈与と比べて非課税措置が多くなっています。
贈与税は自己申告ですので、もし前年度に対象となる贈与を受けた場合は、3月15日までに税務署に申告し、一括納税がする必要があります。
申告漏れになると、無申告加算税というペナルティがかかりますので、そうならないよう一度確認してみて下さい。
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