住民税とは?FPがわかりやすく解説|非課税になる場合についても解説

住民税とは、お住いの地域に居住することで課される税金です。
税金には、大きく分けて2つの種類があります。
- 国に納める「国税」
- お住いの市区町村に納める「地方税」
住民税は「地方税」にあたります。
ちなみに住民税とよく混同される「所得税」は、「国税」にあたります。
住民税として徴収された税金は、下記のような公共施設の建造やサービスの運営に使用されます。
- 市立図書館
- 市立学校・市立幼稚園
- 公園
- 市役所・公民館
- 上下水道
- ごみ収集・ごみ処理
- 市立病院
住民税は、私たちが生活する地域の設備やサービス運営に直接関わってくる税金です。本記事では住民税について、できるだけ詳しく、わかりやすく解説します。
なお、本記事で取り扱う住民税とは「個人住民税」のことを差します。
住民税の納税義務者

住民税は、その地域に住所をおく個人に納税義務が生じます。
厳密にはお住いの市町村に記載されている「住民基本台帳に名前がある人」が対象者です。
しかし生活条件によっては住民税が非課税、あるいは所得に応じて控除となる場合があります。
住民税の納税義務者は、厳密には上記以外にも対象となり得る方がおられます。
詳しくは下記の記事を参考にして下さい。
(参考)納税義務者 – 税務用語辞典
納税の起算日
納税起算日は「1月1日」です。
その時点で住所をおく市町村に対して、その年度の所得に応じて翌年度に課税されます。つまり本年度の住民税は、前年度の所得に対して課税されるということです。
なお前年度に死亡していた故人には、その翌年度の住民税は課税されません。
住民税・二つの種類

住民税の種類として、下記の二つがあります。
- 道府県民税(東京都では「都民税」)
- 市町村民税(東京23区では「特別区民税」)
道府県民税・市町村民税は、次にあげる二つの方法で税額計算されます。
住民税の税額計算
住民税の税額計算には、以下の二つを用い、それぞれの合計額が住民税の課税額となります。
均等割
均等割は、所得の大小に関わらず、一律決まった金額を徴収されます。
その内訳は下記の二つです。
道府県民税 | 1,500円 |
市町村民税 | 3,500円 |
※それぞれ令和5年まで、復興税として500円づつ加算されています。 令和6年以降は、計1,000円安くなる予定です。
所得割
前年の所得に応じて、税率で計算します。
道府県民税 | 4% |
市町村民税 | 6% |
課税対象は通常の所得と、退職金にあたる「退職所得」にも課税されます。退職金については、前年度の所得ではなく、受け取る際に天引きされます。
なお上記の例外ですが、「政令指定都市」とされている都市の税率内訳は、下記となります。
道府県民税 | 2% |
市町村民税 | 8% |
政令指定都市は人口50万人以上の大都市で、令和3年時点で20の都市が指定されています。
(参考)指定都市一覧 – 総務省
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/bunken/shitei_toshi-ichiran.html
(参考)政令指定都市 – ウィキペディア(Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%94%BF%E4%BB%A4%E6%8C%87%E5%AE%9A%E9%83%BD%E5%B8%82
住民税の納税・納付方法

住民税の納税は「賦課化課税方式(ふかかぜいほうしき)」になります。賦課化課税方式とは、納税先の市町村から税額の通知を受けて納税する方式です。
実際に納税する方法には、下記の二つがあります。
- 普通徴収
- 特別徴収
普通徴収
納税の通知を受け、直接税務署に納付する方法です。
対象者は、事業者や社会保険に加入していない方があげられます。前年に所得があり、退職された方も翌年に課税されるため普通徴収に該当します。
税額は4分割され、年に4回通知を受け、納税します。
特別徴収
会社が給与から天引きして支払ってくれます。
6月から翌年5月までを12分割して、毎月の給与から徴収されます。
給与明細上は「地方税」と記載されていたりもします。ちなみに賞与から天引きされることはありません。
住民税が非課税になる場合

次の条件をいずれか満たしている場合、住民税は非課税になります。
- 生活保護を受けている
- 前年所得が125万以下で、さらに下記の条件を満たしていた場合
(※給与所得のみの場合、204万4000円未満)
- 障害者
- 未成年
- 寡婦・寡夫
- 均等割が課税されない人
前年の合計所得金額が、次の算式で求めた額以下である人
(1) 同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合
35万円×(本人+同一生計配偶者+扶養親族)の人数+21万円
(2) 同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合
35万円
- 所得割が課税されない人
前年の合計所得金額が、次の算式で求めた額以下である人
(1) 同一生計配偶者又は扶養親族がいる場合
35万円×(本人+同一生計配偶者+扶養親族)の人数+32万円
(2) 同一生計配偶者及び扶養親族がいない場合
35万円
(引用元)市府民税が課税されない人 – 京都市情報館
https://www.city.kyoto.lg.jp/gyozai/page/0000028121.html
注)上記の「均等割が課税されない人」「所得割が課税されない人の税額計算」は、京都市の例であり、市町村によって異なる場合があります。
住民税の控除について
住民税の控除は、所得控除13種類。税額控除が2種類あります。
このうち所得税と控除額が同じものもありますが、条件や控除額が異なるものもあります。
住民税の控除額とその種類については、下記のページで詳しく解説しています。
▼住民税の控除額と種類について|基本的な控除内容についても解説
https://30daikarano-kazoku-tyokin.com/?p=1006
まとめ
住民税は所得税と同じタイミングで処理されるため混同しがちですし、所得税の方をなんとなく意識しがちです。
しかし所得税とは大きく内容が異なる税金ですので、よく理解した上できちんと納税しましょう。